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2008年8月3日

「思い悩むな、神の国を求めて生きよ」 詩編34:9-11、 ルカ12:22-35
                                       香月 茂 牧師


 今朝の箇所でイエス様は「命のことで、思い悩むな」と言われていますが、どうしても気になるのは、自ら命を絶つ自殺の問題です。日本はここ10年自殺者が3万人以上です。命のことで、生きる希望を見出せない孤立した人々がいます。生きることそれ自体に、もうだめだと悩む人がいるのです。私はこのことに心が向きます。

 イエス様は「カラスのことを考えてみなさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、納屋も倉も持たない。だが、神はカラスを養ってくださる。あなたがたは鳥よりもどれほど価値があることか」と言われました。神様はあなたがたに価値を見ておられ、深く愛しておられると教えておられます。イエス様は、ここで人が何かをするから、何かができるから価値があると言われているのではありません。何もできなくても、その人自身の存在に価値を見ておられるのです。

 自殺の危険の高い人は、いわば、心理的な視野狭窄の状態に追いやられてしまっていると言われます。孤立してしまい、もう自分では現実の問題をどうすることもできないと考え、もう死ぬしかないと思い込んでしまうのです。あるいは、今まで自分にとって価値があったものを失ってしまうと、もう生きていく価値がないと思い込んでしまうのです。皆さんもご存知の星野富弘氏も、クラブ指導の時に跳馬で着地に失敗して、首から下が不自由になりました。その時星野さんを襲ったのは「こんな役に立たない人間は、死んだ方がいいんだ」という悪魔の声でした。そして自殺を試みようとされました。こうした星野氏が、ある人を通して聖書を与えられ、イエス様の言葉に触れ、生きる力を頂き、そしてイエス様によって生かされていることを知ったのです。

 イエス様は弟子たちに、まずは一人一人に価値があると教えられました。そうした所から、イエス様は「神の国をもとめなさい」と勧められました。イエス様は一人一人が神を求めて生きていったらいいと考えられたのではありません。「神の国」には、「神の国の民」がいるのです。国民が一人では国とは言いません。一人で生きるのではなく、共に生きること、神様を信じて、神様にあって共に生きること、これが「神の国を求めて生きること」です。そのような生き方をイエス様は望まれました。一人で神様だけを信じていればいいという生き方は、神の国を求めて生きているのではありません。神様にあって、互いが関係を持ち、互いが関わり合って生きることが求められています。

 神の国を求めて生きる、これが教会の歩みです。教会は、どんなに小さな群れであっても、神を信じて、神の御心を求めて、共に生きようとする時、父なる神は祝福して下さいます。イエス様によって現された神の愛を受け止め、神様に愛され生かされていることを覚えて、共に生きる者でありたい。与えられた生涯を、神をほめたたえて、神様を見上げて生きていきたい。
by higacoch | 2008-08-03 21:22 | ルカ
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