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2017年1月15日

先週の説教「恐れるな、小さな群れよ」ヨシュア1:1-9、ルカ12:22-34
                    唐澤健太牧師(国立のぞみ教会)
 「恐れるな」。聖書は、「恐れるな」という神の言葉に満ちています。クリスマスの時によく読まれるマリアの物語においてその言葉は語りかけられました。マリアの妊娠を知ったヨセフにも「恐れるな」という天使の声が夢で告げられました。ガリラヤで漁師であったペトロは、「恐れるな。今から後、あなたは人間をとる漁師になる」と招かれ、イエス様の弟子になりました。嵐の舟の中で弟子たちは、なぜ怖がるのか、と主イエスへの信仰を問われました。「怖がることはない」、「恐れるな」と繰り返し、繰り返し神様が御声をかけておられることは、それだけ、私たちが簡単に恐れにとりつかれてしまうからでしょう。
 ヨシュアは、偉大な指導者モーセの後を引き継ぐことになりました。ヨシュアには、うろたえて、おののいてしまう、「恐れ」がありました。40年の荒野の旅は、ちょっとしたことで、群れは分裂しそうになりました。エジプトに帰りたいと言い出す者がいました。勝手に金の子牛を作ってしまう時もありました。イスラエルの人々を約束の地に導くためにモーセがどれだけ苦労してきたかをヨシュアだってきっと知っていたはずです。この群れを導いくことが自分にできるだろうか。その働きを自分ができるのだろうか。そのようないう恐れがあったでしょう。
 目の前にはヨルダン川が流れています。この時期は春の借り入れの時期で、雪解け水でヨルダン川は非常に増水し、堤を超えそうなほどでした(ヨシュア記3章参照)。そんな川をどうやって渡るのか。たとえ渡ったとしても、まだ足を踏み入れたことのない、約束の地へいよいよ入っていく。そこはどんな土地で、どんな人がすんでいるのか。よい関係ができるのか。争いになるのか。心配、不安、恐れがヨシュアの中にあったに違いありません。
 そのようなヨシュアに主は、「わたしは、モーセと共にいたように、あなたと共にいる。あなたを見放すことも、見捨てることもない」との約束を与えてくださいました。ヨシュアは約束の地を目指して進むことが求められたのです。
 教会は約束の地を目指して荒野を旅したイスラエルの民のように、この世の荒野を旅しながら、神の約束の地、神の国を目指して旅する民です。イエス様は人々に神の国が近づいたことを教え、人々と共に生き、人々をいやし、神様の力があなたがたの間にあることを告げられました。イエス様が告げられた神の国の実現を、「御国を来たらせたまえ」と祈り、神の国を待ち望む群れ、それが私たちの教会です。私たちの世界は、まことに困難な時代を迎えています。愛と憐れみが支配する神の国とは程遠い世界が急速に広がっています。愛が冷める終わりの時代(マタイ24:12)のように思えます。神の国を目指す私たちの前に激流のヨルダン川が横切っているようです。
 その中で東小金井教会は牧師が交代する時を迎えました。新しいリーダーが立てられます。関先生の中に「恐れ」があるでしょう。また東小金井教会の皆さんも新しい時代を迎える中で、「恐れ」があるでしょう。課題の前に、私たちはいささか小さすぎるのではないか。「恐れ」を覚えてしまいます。
 「小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる」。主イエスは弟子たちに語られました。主イエスの働き、主イエスの宣教を引き継いだ弟子たちは繰り返し恐れにとりつかれました。主を信じる群れ、教会もたびたび恐れました。しかし、教会は「恐れるな」との主の御言葉を聞き、支えられ、生かされるのです。
 だから、私たちがなすべきことは、その主の約束を信じることです。そして、神がヨシュアに語られたように、「ただ強く、大いに雄々しくあって、左にも右にもそれず、ただ主の命じられたことを果たす」のです。「神さまが喜んで神の国」をくださるのでから、ただ神の国を求めて歩むのです。東小金井教会がこれまでしてきたように心から主を礼拝し、主を証しし、「神を愛し、自分を愛するように、隣人を愛する」主の律法にまっすぐに従うのです。
 恐れることがあっても、「恐れるな」という主の声を聞き、神の国を目指して進みましょう。「平凡でいい。ひたむきに生きよう」(藤沢周平)。その時に、ヨルダン川が不思議な形でせき止められ、進むべき道がひらかれたように、私たちの教会の歩みにも神の備えて下さる道が開かれるのです。
 そして、何より忘れてはならないのは、荒野のイスラエルの民を導いたのは、神ご自身であったことです。昼は雲の柱で、夜は柱が、民の先頭を離れることはなかったのです! 預言者イザヤも「あなたたちの先に進むのは主であり/しんがりを守るのもイスラエルの主」(イザヤ52:12)と記しています。
 恐れることはありません。私たちに先立って主が進んで下さるのです。そして私たちのしんがりも主なる神が守っていてくださるのです。だから恐れること無く、新しい牧師と共に、私たちは、神が与えて下さる約束の地を目指して、神の国を目指して、ひたむきに歩みましょう。喜んで神さまはそれをくださるのですから! 「恐れるな。小さな群れよ」。
by higacoch | 2017-01-18 22:14 | ルカ
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