「恵みと真理とに満ちていた出来事」
イザヤ書52:7-10、ヨハネ福音書1:1-14 香月 茂 皆様と共に、クリスマス主日礼拝を捧げることができて、大変嬉しく思っています。イエス様の誕生を喜び、神様の御名をほめたたえましょう。 さて、今朝は14節を中心に、御言葉の糧を頂きたいと思います。「言は肉になって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちは、その栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた」とあります。これを二つに分けると、前半は「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」。これはヨハネ独自のイエス様の誕生の描写で、言は神様を表し、肉とは人間を表していて、短い中にもヨハネは重大な信仰を告白しています。つまり「神様が人間となられた」ということです。神学的な議論では「受肉論」と言って、神様が肉体を受け入れられたことを論じています。有名な本にアンセルムスが書いた『何ゆえに神は人間となられたのか』というものがあります。何ゆえか?それは、わたしたち罪人の救いのため、私たちの贖いのため、というのです。人間が何かをしたので、神様が人間となってくださったのではありません。ただただ神様の一方的な憐れみによるもので、これ以外の何ものにもよりません。 次に、後半は「父なる神の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた」。ここで注意したいのは、イエス様の誕生はただ「恵みと真理によった」のではなく、「恵みと真理に満ちていた」と言っていることです。これは福音書を書いたヨハネの信仰告白だと言った方がいいでしょう。恵みが満ちており、この後のイエス様が為された出来事は恵みがさらに溢れた出来事だったのです。 私は今回、聖書箇所を1節から14節として説教の準備をしてきました。しかしながら、この箇所を読み、祈りつつ準備していく中で14節までではなく、18節までにしておくべきだったと示されました。なぜなら、16節でヨハネは、こう言っているのです。「私たちは皆、この方の満ちあふれる豊かさの中から恵みの上に、さらに恵みを受けた」と。恵みの上に、さらに恵みを受けたという言葉に、私はイエス様の十字架を思い起こしました。イエス様ご自身が、自らのいのちを犠牲にしてまでも、私たちを愛してくださったこと、そして、その死からよみがえって、新しいいのちを示して下さった復活の出来事を思い出しました。それで、今回の週報の正面に、イエス様の誕生、イエス様の十字架、そして復活―復活そのものではありませんが、復活後の昇天の場面の三点セットを選びました。このように、イエス様の誕生は、私たちに満ちていた恵みが与えられていたことのしるしなのです。 さらに17節には、「律法はモーセを通して与えられたが、恵みと真理は、イエス・キリストを通して現れた」と告白しています。これは、旧約の時代は、モーセによって律法が与えられましたが、新約の時代は、イエス様によって恵み、そして真理が与えられたと理解できます。 次に、真理について考えてみましょう。真理は、福音書の中で22回、語られていますが、そのほとんどがヨハネ福音書にあります。具体的に言いますと、22回の内の19回出てきます。ヨハネが語るように、真理もイエス様によって現れたのです。イエス様は、「真理はあなたたちを自由にする」、「私は真理を語っている」、「真理の霊が来ると、あなたがたを導いて真理をことごとく悟らせる」とおっしゃっています。こうしたことから、真理とは、神ご自身を表すというよりは、神の言葉であり、神の言葉を伝えるイエス様の言葉をも意味します。 私たちは、しっかりと覚えたいのです。クリスマスの出来事、それは神の恵みと真理とに満ちていたということを。そして、その恵みが、イエス様の歩みの中で、溢れてきたのです。そして、ヨハネの手紙に「神は愛である」と告白されているように、ヨハネの手紙一の4章9~10節では「 神は、独り子を世にお遣わしになりました。その方によって、わたしたちが生きるようになるためです。ここに、神の愛がわたしたちの内に示されました。 わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して、わたしたちの罪を償ういけにえとして、御子をお遣わしになりました。ここに愛があります。」とあります。 私たちは神様の一方的な憐れみによって、今、罪赦されて、生かされているのです。この神の愛の地上での原点が、イエス様が、人間となられたことです。だから、喜びましょう。イエス様が、この地上にお生まれになったことを。そして、この誕生が、神の恵みと真理に満ちていたことを、隣人に伝えましょう。喜びをもって、あなたも神様に愛されたのですよ、と。イエス様は、生まれ、命をかけてあなたの罪のために死んでくださったこと、そしてその死ですべてが終わったのではなく、死を超えて命が与えられると示してくださったことを伝えましょう。この東小金井教会がどんなに小さな教会であっても、イエス様の救いの恵みと真理を伝えることができるのです。そのことをしっかりと忘れないようにしましょう。そして、イエス様の救いの恵みを伝えていきましょう。
by higacoch
| 2016-12-30 15:40
| ヨハネ福音書
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