人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2016年4月10日

 「上にあるものを求めなさい。」詩編116:1-14、コロサイ3:1-11
                                        香月 茂 牧師

 私は4月5日に市内の「憲法9条を守る会」の方々と日帰りのバス旅行をしました。茨城県の土浦にあります「予科練平和記念館」に行き、ガイドさんの説明を受け、展示品を観て改めて感じました。戦争は人を殺し、殺されることだと痛感し、戦争を決してしてはならないと感じて帰ってきました。その帰りのバスの中ですばらしい歌を紹介して頂き、皆で歌いました。それは、東日本大震災で甚大な津波の被害を受けた岩手県の釜石小学校の校歌です。
①いきいきいきる。いきいきいきる。ひとりでたってまっすぐいきる。こまったときは、めをあげて、ほしをめあてにまっすぐいきる。いきあるうちは、いきいきいきる。
②はっきりはなす。はっきりはなす。びくびくせずにはっきりはなす。こまったときは、あわてずに、にんげんについてよくかんがえる。かんがえたなら、はっきりはなす。
③しっかりつかむ。しっかりつかむ。まことのちえをしっかりつかむ。こまったときは、てをだして、ともだちのてをしっかりつかむ。てとてをつないで、しっかりいきる。」
 私は、本当に、いい歌だなあ、そして、すごく現代的だなあと思いました。でだしに「生き生き、生きる」とあり、そして3番とも「困った時は」と繰り返されます。「困った時には」どうするか、1番は「目を上げて、星を目当てに、まっすぐに生きる」、2番は、あわてずに、人間について、良く考える」、3番は「手を出して、ともだちの手をしっかりとつかむ」とあります。そして、それぞれ、生き生き生きる(1番)、はっきり話す(2番)、しっかり生きる(3番)と歌い終わるのです。この歌は、平成15年に近くの小学校と統合した際に、井上ひさし氏作詞、宇野誠一郎氏作曲によって作られました。
 私は人間のことを思い浮かべました。聖書の言葉であるギリシア語では、人間を「アンスローポス」と言います。この言葉は「顔を上へ向けて生きるもの」という意味で、権力者の入れ替わり、価値観の変化などの地上の移り変わりに目を向けて、生きるのではないのです。時代を超え、国を超えて、変わらない真理に求めて生きる存在こそが人間だということです。
 さて、今朝のコロサイの信徒への手紙の2節には、「上にあるものに心を留め、地上のものに心を引かれないようにしなさい。」とあります。キリストに出会う前は地上に目を注いで、みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、貪欲な生活をしていて、心は死んでいた状態であったが、今やキリストを信じたのだから、生き生きに生きていきなさいと勧めています。以前のような、怒りや悪意などを捨てなさい、互いに嘘をついてはいけませんと教えています。あなたはキリストを信じる人間として、新しく生きるようになりなさいと言っています。日々聖書の御言葉から学び、あなたは、新しくされるのだと。そのように生きていく時、そこでは、人種の違い、民族の違い、国の違い、身心障害の違い等の優劣や、上下関係とかの差別は一切ありません。またそこには、敵、味方で分かれて、戦争して殺し合うことなど考えられません。釜石小学校の校歌にあるように、困った時には、手を出して友達の手をしっかりとつかみ、手と手をつないでしっかりと生きるのです。互いに信頼し、思いやり、助け合って生きることです。人間が顔を上に向けて生きるとは、神様に祈ることでもあり、神様に祈り求めて生きることを含んでいます。
 最後に、11節の「キリストが、すべてであり、すべてのものの内におられるのです。」という言葉を学んで終わりたいと思います。すべてのもののうちにキリストがおられると云うのは、すべての人がキリストの祝福にあずかっているということです。ここにいる人もいない人にも祝福が与えられているのです。ここにおられ、キリストへの信仰が与えられているのは、キリストによって先に信仰が与えられているのであって、人よりもすぐれているからとか、信仰深いからなのではありません。キリストが憐れんで祝福をくださっただけなのです。自分の側に、信仰を与えられる根拠があったからではありません。ただただ神様の一方的な憐みがあっただけなのです。ここにおられる方と、ここにおられない方との違いは、ただ一つだけ、キリストの祝福を知っているか、知らないかの違いだけです。ここに初めて来られた方々には、あなたにもキリストの祝福が注がれていることを知って頂きたいのです。そして、キリストを信じて生きていくために、求道の歩みをして頂きたいのです。上にあるもの、それは、キリストが、あなたを愛し、あなたに祝福を与えておられることを信じて生きていって頂きたい。釜石小学校の校歌を作詞した井上ひさしさんは、信仰者です。ですから、心の深い所で「いきいき いきる。一人でたってまっすぐ生きる」と言う歌詞に、一人ひとりの子どもたちが、上にあるものを求めて、生きて欲しいという願いを持っていたのでしょう。ぜひ、皆さんも神様に目を向けて、まっすぐに生きていって頂きたいのです。
by higacoch | 2016-04-16 13:48 | コロサイ
<< 2016年4月17日 2016年4月3日 >>