「洗礼を受けなさい」 イザヤ書44:1-3、使徒言行録2:29-42
皆さんと共にペンテコステ主日礼拝を献げることができ、大変嬉しく、主なる神様に感謝します。特に、今朝は私たちの教会に新しい兄弟、山本兄弟を迎えることができますことを主の恵みと覚え感謝します。 さて、今朝の説教の題を「洗礼を受けなさい」としましたが、これは人の首根っこを捕まえてウムを言わさず、「洗礼を受けなさい」と言おうとしているのではありません。強制的に、誰構わずと言うのではありません。それは説教したペトロもそうです。ペトロはこのことを説教の始めに言ったのではなく、説教が終わってから、語った言葉なのです。最初から頭ごなしに言ったのではなく、説教を終えた後、それに心打たれた人々が問い掛けたのに応えて、勧めた言葉なのです。ここが大事なことです。 ペトロが説教をしました。ではどんなことを語ったか。イエス・キリストの出来事を語りました。それによって、人々の心は、刺し通されました。ペトロはイエスこそ、神から遣わされた方だと言ったのです。「神は、イエスを通してあなたがたの間で、奇跡、不思議な業、しるしを示された。そのイエスをあなたがたは殺してしまった。が、神はイエスを復活させられた。それは、ダビデもイエス・キリストことを『わたしの魂を陰府に捨てておかれない。あなたは命に至る道をわたしに示し、喜びで満たして下さる』と歌っていると。あなたがたも、そのように導かれていると言っているのです。神がイエス様を救い主となさったのは、私たちの罪を赦し、命に至る道を与えて下さるためだと、ペトロは説教しているのです。もっと解りやすい言葉で言うのなら、「神はあなたを愛された。あなたが罪人であっても、その罪を赦してあなたを生かされる」ということです。 先日、「たましいのケア」という本を読みました。書いた人は藤井理恵さんで淀川キリスト教病院のチャプレン、ホスピス病院内の女性の牧師さんです。藤井さんは多くの病む人をみて、こう言われています。「たましいの痛みは、どの患者さんも持っているものであり、病気のあるなしに関わらず、私たち人間、誰もが持っているものです。たとえば、ある程度のお金があり、住まいがあり、自分を心から愛してくれる家族や友人がいたとします。しかし、心のどこかでむなしさを感じたり、自分の中には、何によっても埋められない部分があるのを感じたりする。それは、自分は生きていて、いいのか。人間は、生まれて死んでいく。いったい何のために生まれ、何のために、自分は生きているのか。こんな生き方をしていいのだろうかと自分の存在価値、そして人生の意味を問うて悩む。『生きる意味』『生きる価値』そうした悩みの問いかけを聞く、たましいのケアが最終的には必要なのだ」と言われています。 ペトロの説教は、こうした人間の生きる意味、生きる価値、それが、イエス・キリストによって与えられている、あなたもイエス・キリストの救いによって罪赦され、新しく命の道を歩むことができる、その道をイエス・キリストが開いてくださったと説教したのです。このペトロの説教を聞いて、人々は、心刺し通されたのです。それは、その人の奥深く、存在そのものに、語り掛けられたのでした。心の奥までに刺し通されたのです。だから、人々は、誰からか強いられて、「わたしたちはどうしたらいいのでしょうか」と問い掛けたのではありません。そうせざるを得ないように押し出されたのです。そうしたことが説教を聞いた者に起こったのです。心打たれた者は、ただ自分の心の中に感動を留めたのではなく、どうしても新しい歩みをしたいと願いました。だから弟子たちに尋ねたのです。ここには心からの求道があります。その真剣な問いにペトロが応えて勧めたのが、「洗礼を受けなさい」でした。 イエスがキリスト(救い主)であると説く説教は、この日にだけ為されたのではありません。その後も、礼拝で為され続け、今も為されています。さらにこれからも為されていきます。そうした時、神の言葉が説き明かされ、イエスがキリスト(救い主)であるということが伝えられ、救いの出来事に心打たれる人が起こされます。そのような時、ぜひ応答していって頂きたいのです。イエス・キリストを救い主と信じ洗礼を受けて頂きたい。ダビデがそうであったようにイエス・キリストによって救われ、生かされる喜びで満たされるからです。
by higacoch
| 2010-05-29 18:24
| 使徒言行録
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