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2008年9月7日

「剣を取る者は剣で滅びる」創世記9:6, マタイ福音書26:47-56 
                                     香月 茂 牧師

 
 先々週、悲しい事件がアフガニスタンで起こりました。現地との人々と共に働き、現地の人たちのために仕えて、砂漠化する農地を何とかしようと井戸を掘り、灌漑用水路を造りながら、農業指導もしていた日本のNGO、ペシャワール会のメンバーであった伊藤和也さんが銃弾に打たれて殺されたことです。このペシャワール会の活動は、今から24年前、医者の中村哲氏の医療活動を支援していく目的で始められ、その後2000年の大干魃で大打撃を受けたアフガニスタンの人々のために、食糧支援のための農業活動にも広がり、井戸を掘り続け、その数1600箇所以上にもなりました。

 9.11への報復戦争開始から7年が経った現在のアフガニスタンの政情不安定を思うと、軍事力で戦争に勝利し、力で戦争を終結させたとしても、それは決して平和作りでないと教えられます。改めてイエス様の言葉が本当だと教えられます。イエス様は、剣で立ち向かおうとした弟子に「剣を取る者は、皆剣で滅びる」と言われました。これは、「剣に対して剣」では解決はできないということです。この世界は剣である武力がものをいう世界です。その力の論理が多くの人々に通じるかも知れません。しかし、そのような人間の世界に主イエス様は来られました。そして人々に仕え、神の国の福音宣教に励んでいかれ、決して力で人を従わせようとはされませんでした。むしろ人々を憐れみ、自らの命を賭けて、人々の罪を赦す愛をもって、十字架の上で死んでいかれました。そして、その後に新しい真実の命を弟子たちや人々に現して下さったのです。ここに神の愛があらわされ、神による真実の平和が創り出されました。剣ではなく、愛をもって創り上げられました。

 ペシャワール会の現地代表の中村哲氏は、次のような信念をもって語っておられます。「平和は軍事では勝ち得られません。いたずらに農民を殺戮する外国人の対テロ戦争に対決し、一人でも多くの命を守る戦いです」と。私の手元には、ペシャワール会の最新号の機関誌がありますが、その機関誌に、殺害された伊藤和也さんらの記事もあります。そこには、農業指導で現地の農家の人々が作物を多く育てて大収穫を得たことが述べられていますが、最後に、最も大事なことは人材育成であり、今後もそのために一生懸命働いていくと述べられています。

 人が暴力に対して、暴力、剣に対して、剣と、報復をしようとする時に、イエス様が語られた「剣を取る者は、皆、剣で滅びる」をしっかりと受け止め、軍事力で、力で、本当の平和は創れないと心に刻み、イエス様の言葉に従い平和造りを小さな歩みの中でもなしていきましょう。「平和を創り出す者は幸いだ」とも言われています。(マタイ福音書5:9参照)
by higacoch | 2008-09-07 22:24 | マタイ
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