「学者たちが訪ねた場所」 イザヤ11:1-10、マタイ2:1-12
今朝与えられたマタイ福音書には、占星術の学者たちのことが記されています。彼らは東の国からやってきたとはっきり記されています。この学者たちは、3人だというのが定着していますが、それは贈り物が3種類だったので、3人だったと想像されたからです。また、3人ということで3大陸、アジア、ヨーロッパ、アフリカ大陸と結びつけられ、黄色、白色、黒色の肌を持つ人と考えられ、それぞれの大陸を代表しているとも考えられています。三大大陸の異邦人代表たちに、幼子がキリストであることを公に現したとして、公現日として、クリスマスが祝われていました。今も、教会は1月6日を公現日として祝っています。日本のギリシア正教会では、その翌日の1月7日をクリスマスとしてお祝いしています。またカトリック教会も最近は、1月6日が平日の場合は、その日に近い主日を公現日として祝っています。ですので、今回は公現日までクリスマスの飾りを少しだけ残しておき、公現日を意識して過ごしていきたいと思っています。 さて、学者たちのことを考えたいのです。彼らは、当時の知識階級に属しており、王に仕えていました。そんな彼らが、一段と輝く大きな星の光を見つけ、その光の出現は、新しい王がお生まれになる印だと信じました。その光が西の方に輝いていたので、その方角から、ユダヤの国だと確信しました。そして、その王に会うために旅立ったのです。3カ月以上かかるラクダの旅だったでしょう。彼らは、新しい王の誕生と考えましたから、ユダヤの宮殿に行きました。そしてヘロデ王に謁見し、尋ねました。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。」と。彼らは、ユダヤの国にくるまで、人間的な常識で行動してきたと思えます。王の誕生と言えば、常識的には、王宮で生まれると考え、当然のように、王宮に行ったのでしょう。一般常識では、学者たちの判断は、良く解り、正しいのです。 当時は、王の出現は、新たな戦争が起こると考えられていましたから、ヘロデ王だけではなく、都エルサレムの住民も皆、恐れたとあります。ヘロデ王は国内の学者たちを呼び寄せて、預言書などを調べさせたところ、ミカ書に新しい王の誕生の地がベツレヘムと記されていました。ヘロデ王は学者たちに、それを知らせました。そこで学者たちが出かけると、再び星がベツレヘムへと彼らを導きました。そして幼子のいる場所を指し示して、星は動きを止めました。 最初にその場所を見た時に、学者たちは大変、びっくりしただろうと思います。なんと家畜小屋だったからです。こんな場所に、こんな薄暗い小さな所にと、一瞬、たじろいだことでしょう。彼らの常識では、考えられなかった場所だったからです。学者たちは、迷いました。しかし、彼らは星の光を、これまで導いた星の光を信じたのです。彼らの常識からは、信じられない場所ではありましたが、一歩踏み込んで、入って行きました。彼らに、その力を与えたのは、光でした。こうして、彼らは、家畜小屋に入ることができました。そして、イエス・キリストとの出会いが与えられました。もしも自分たちの考えや一般常識に従っていたら、キリストとの出会いはなかったでしょう。こんな汚い、暗い、薄暗い場所に王が生まれるわけがないと考え、家畜小屋に入らなかったなら、キリストとの出会いはなかったのです。 人が常識に留まっている以上、信仰へと歩み始めることは出来ません。人間の内側にある光、それがどんなに明るかったとしても、長年の知恵や知識があったとしても、信仰には入れません。信仰に入ることができるのは、外からの光、今朝の箇所で言うと、星の光によってなのです。この光は、神からの光であって人をキリストへの出会いへと導く光なのです。この光を信じて歩み始めなければ、キリストとの出会いもないのです。 わたしたちも人間常識に留まらず、常識を超えた所に進んでいきましょう。学者たちを導いた星の光がそうであったように、今も生きて働かれるキリストの光(キリストの言葉)、いのちの光が輝いています。その光によって学者たちがキリストと出会ったように、その光があなたにキリストとの出会いを与えてくれます。そして学者たちにとって、その場所が礼拝した場所となったように、あなたにとっても、そこが礼拝の場所となり、信仰の道を歩んでいくことになります。 求道中の方が、キリストとの出会いが与えられますように祈り、わたしたちも新しい年、主を見上げて信仰の道を歩んでいきましょう。
by higacoch
| 2014-12-31 10:28
| マタイ
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