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2014年12月21日

「主イエスの誕生」  イザヤ7:10-14、ルカ福音書 2:1-20
                               
 皆様と共に、イエス様の誕生を喜び祝うクリスマス礼拝を捧げることができますこと、大変嬉しく思っています。さらに私たちの教会に、新しく二人の兄弟姉妹を加えて下さる神様に感謝しています。お二人は、長年わたしたちと共に礼拝を捧げ、交わりを持ってきた薗田兄弟姉妹であります。一度にご夫婦を迎えることができ、心から嬉しく思っています。
 さて今年の12月13日(土)の夕方に吉祥寺カトリック教会で市民クリスマスが行われました。そのクリスマスでは聖劇を中心に礼拝をし、私自身、羊飼いの役で出演しました。こうしたことで、当時の羊飼いについて思い巡らしました。
 彼らは人々から軽蔑されていました。汚い、臭い、けがれた奴だ、と言われました。人々から石を投げつけられることさえありました。いつしか自分たちは、価値のない人間、生まれてこなければ良かったという思いへと追い詰められていました。また安息日の規定を守らず、生活していました。羊の世話をする仕事上、羊を野原において集会に出かける事が出来なかったのです。行かないのではなく、行けなかったのです。ですがこうしたことから、彼らは神からも見捨てられた人間たちだと言われ、神様のバチが当たっているとさえ言われました。この時、ローマ皇帝アウグストゥスからの勅令が出て、人々は生まれ故郷に帰って登録をしなければなりませんでしたが、彼らは、人口調査の対象から外されていました。ローマ帝国も彼らを人の数に数えようとはしませんでした。彼らは人間の屑と見られ、扱われ、また神からも見捨てられた救いようのないと決めつけられていました。
 このような羊飼いたちに、天使が現れ、そして語り掛けました。「恐れるな、わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日、ダビデの町であなたがたのために、救い主がお生まれになった。この方こそ、主メシアである」と。天使は天の高い所にいて、「恐れよ」と命じたのではありません。そうではなく、天から地に近づいてきて、彼らと変わらないところにやってきて、「恐れるな」と語り掛けました。天使は、偶然、羊飼いを見つけて告げたのではありません。羊飼いが選ばれたのです。それは神が羊飼いを選んだということです。
 こうしたことから考えますと、彼らは決して神に見捨てられてはいません。否、むしろ、大事にされました。彼らに告げられたことは、人々への初めてのメッセージでした。それを考えると、天使は、「すべての民に与えられる大きな喜びを、誰よりも先にまずあなたがたに伝えます」と語り掛けたのです。だから、神は人間社会で見捨てられていた彼らを大事にし、愛しておられると言えます。天使は伝えたのです。「あなたがたのために」と。ユダヤの国のためにとか、王様のためにとか、預言者のためにとか、ではありません。「あなたのために」と。
 この羊飼いとは、現代的な視点で言えば、どんな人でしょうか。夜の仕事、あまり目立たない人、見守りをしている人、そう考えていましたら、夜勤で介護をしている人々が浮かんできました。夜勤で、一人で30人位の高齢者の方の世話をしている人、あるいは夜勤の道路工事現場で、車の誘導をしている人…。そんな方に、天使が「恐れるな、神様は、あなたを愛している、あなたは価値ある人だ、神は見捨てたりしない。あなたのために救い主が生まれた」と語り掛けたようなものです。ですから、わたしたちは社会の片隅で生きている人たちに、「あなたは、神から見捨てられてはいない」とはっきり言うことができます。
 そして、与えられた大きな喜びとは何だったでしょうか。この世で価値ある金銀、この世で出世していく知恵、才能だったでしょうか。そのような世で価値あるものではなく、「人」でした。そしてその人は、あなたを、命をもって愛して下さる方でした。その方は、あなたを愛して、あなたが真実に生きるように救って下さる方でした。たとえ、あなたが、どんなに罪深く悪い者であっても、あなたを愛し、罪を赦し、生きるようにしてくださる方でした。この方こそが救い主イエス様だったのです。この方は、あなたの無二の親友ではなく、無二の救い主でした。この方は最も低くなられ、わたしたちを愛して、最も下から救いを成就して下さった方です。だからこそ、あなたも愛されているのです。あなたの友人、知人、家族も愛されていると言えるのです。
 だから、今日、私たちは救い主の誕生を喜び、賛美するのです。ここにいらっしゃる誰もが、神様に愛されているのです。この神様の愛を受け止めて、喜び、また感謝しましょう。羊飼いたちが、自分の持ち場に戻っていく時に、喜んで救い主イエス様の誕生を伝えていったように、わたしたちも家庭で、地域で、職場で、喜んで伝えていきましょう。共に喜び、共にイエス様を見上げて歩んでいきましょう。
by higacoch | 2014-12-27 10:22 | ルカ
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